Record of Our World

01.その後のお話(SS再掲)

例の本が消えた。
その事実は僕らの心に小さな棘を残していた。
もちろん、誰もそんなことはおくびにも出さないが、図書館に寄るとついあの本がないか探してしまうし、普段寄りつかないような棚に彼女がいることも多くなったように思う。
結局のところ、僕も彼女も、気になることはそのままにしておけない性分だということだ。

「魂、ねぇ…」

魂といえば…そちら方面に詳しそうな人が一人思い浮かぶが、果たしてこの話を蒸し返すのが良いことなのか悪いことなのか。

「迷っていても仕方がない、か」

パタンと、読んでいた本を閉じて、僕はオンボロ寮へと足を向けた。
彼女を連れて向かうは、死者の国の王の勤勉な精神に基づく寮、そう、イグニハイド。

「な、なんでござるアズール氏…!」
「気になることがありまして、少しいいですか?」
「アズール氏一人で来てくれないとこ、こま、」
「なんです。まだ彼女に慣れていないんですか」
「陰キャナメないでくれます!?」






02.暴かれた謎

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